「長編」
Baby Love
Baby Love 6
「琴子さん!」
控えめに手を振る沙穂子に琴子は内心戸惑いながらも小さく頭を下げた。
かつかつと品のいいヒールの音をさせながら琴子の隣まで来た沙穂子は、琴子の反応を見ながらも美しい笑みを浮かべている。
「こんにちは。」
「こんにちは。…ねぇ、琴子さん。今日お隣に座らせて頂いていいかしら?」
「えっ、ええ。もちろん。」
少しぎこちないながらも琴子が微笑みながら頷いたのを確認すると沙穂子はそっと空いた席へと腰掛けた。
ふわりと沙穂子から漂う香りが花のように芳しく琴子の鼻腔をくすぐる。
「琴子…。」
その沙穂子とは逆隣から理美がそっと声をかけてきた。
少し強張った琴子の顔を見たせいか、自分たちこそ青い顔をして琴子の顔を覗き込む親友たちにふっと琴子の顔が緩む。
「理美、じん子。この人は大泉沙穂子さん。沙穂子さん、こちら私の友人で石川理美と小森じん子です。」
大丈夫、そんな思いをこめてにっこり微笑む琴子に二人は慌てて軽く頭を下げた。
「理美さんにじん子さん。大泉沙穂子です。先日はご挨拶もせずに失礼しました。」
「そんな、私たちだって…ねぇ?」
理美がじん子に同意を求めるとじん子もこくこくと頷く。
「そうそう!次の授業があるからって失礼しちゃって!」
「こちらの大学でぜひ受けたい講義があって申し込んだんですけれど、やっぱり知り合いがいると心強くて…仲良くしていただけると嬉しいですわ。」
「もちろん!ね、二人とも!」
琴子の笑顔に二人はひそかに安心しながら沙穂子を受け入れた。
**********
「やだ、琴子さんたら!」
どこの世界でも女性が集まると賑やかなものだが、直樹は彼女のあんな姿は見たことがなかった。
琴子といつも一緒にいる2人組と一緒になってきゃっきゃっと声をあげる沙穂子は楽しげに琴子の肩に手を置いている。
4人が囲んでいるテーブルには女性の好みそうな甘い飲料やスイーツが所狭しと置かれ、直樹は思わず眉間を抑えて深いため息をついた。
「琴子。」
聞きなれた直樹の声にぴくりと琴子の肩が跳ね上がる。
「入江くん!どうして大学にいるの!?」
ほとんど反射的に琴子が振り返ると直樹を認めたその顔に輝くような笑顔が浮かんだ。
すぐに席を立って駆け寄ってくる琴子を受け止めると軽く指で琴子の丸い額をはじく。
「いたっ!」
「バーカ。いきなり飛びついてくるなよ。」
「はーい、ごめんなさい。」
てへへっと笑いながら額を押さえる琴子に直樹が苦笑しているとかたんと椅子の動く音がした。
「直樹さん。」
「沙穂子さん、本当に斗南大学に来ていらしたんですね。」
「ええ…、ぜひお話を聞いてみたい教授がいらして…。」
さっきまでの騒がしさが嘘のように沙穂子の声だけが食堂に響く。
きゅっと小さく服の裾が握られるのを感じて、直樹はそっと琴子の腰を抱いて隣へと導いた。
あ、あけましておめでとうございます…?
まったく更新してなくて皆様お忘れかと思いますが、こっそり更新してみました。
気がつけばご挨拶もしないままもう3月…。
リハビリのために短編でもと思ったのですがなかなか進まず。
完結もしていないのに新しい妄想でも始めようかと思っております。
どうなるか見当もつかないサイトですがこれからもよろしくお願いします。
控えめに手を振る沙穂子に琴子は内心戸惑いながらも小さく頭を下げた。
かつかつと品のいいヒールの音をさせながら琴子の隣まで来た沙穂子は、琴子の反応を見ながらも美しい笑みを浮かべている。
「こんにちは。」
「こんにちは。…ねぇ、琴子さん。今日お隣に座らせて頂いていいかしら?」
「えっ、ええ。もちろん。」
少しぎこちないながらも琴子が微笑みながら頷いたのを確認すると沙穂子はそっと空いた席へと腰掛けた。
ふわりと沙穂子から漂う香りが花のように芳しく琴子の鼻腔をくすぐる。
「琴子…。」
その沙穂子とは逆隣から理美がそっと声をかけてきた。
少し強張った琴子の顔を見たせいか、自分たちこそ青い顔をして琴子の顔を覗き込む親友たちにふっと琴子の顔が緩む。
「理美、じん子。この人は大泉沙穂子さん。沙穂子さん、こちら私の友人で石川理美と小森じん子です。」
大丈夫、そんな思いをこめてにっこり微笑む琴子に二人は慌てて軽く頭を下げた。
「理美さんにじん子さん。大泉沙穂子です。先日はご挨拶もせずに失礼しました。」
「そんな、私たちだって…ねぇ?」
理美がじん子に同意を求めるとじん子もこくこくと頷く。
「そうそう!次の授業があるからって失礼しちゃって!」
「こちらの大学でぜひ受けたい講義があって申し込んだんですけれど、やっぱり知り合いがいると心強くて…仲良くしていただけると嬉しいですわ。」
「もちろん!ね、二人とも!」
琴子の笑顔に二人はひそかに安心しながら沙穂子を受け入れた。
**********
「やだ、琴子さんたら!」
どこの世界でも女性が集まると賑やかなものだが、直樹は彼女のあんな姿は見たことがなかった。
琴子といつも一緒にいる2人組と一緒になってきゃっきゃっと声をあげる沙穂子は楽しげに琴子の肩に手を置いている。
4人が囲んでいるテーブルには女性の好みそうな甘い飲料やスイーツが所狭しと置かれ、直樹は思わず眉間を抑えて深いため息をついた。
「琴子。」
聞きなれた直樹の声にぴくりと琴子の肩が跳ね上がる。
「入江くん!どうして大学にいるの!?」
ほとんど反射的に琴子が振り返ると直樹を認めたその顔に輝くような笑顔が浮かんだ。
すぐに席を立って駆け寄ってくる琴子を受け止めると軽く指で琴子の丸い額をはじく。
「いたっ!」
「バーカ。いきなり飛びついてくるなよ。」
「はーい、ごめんなさい。」
てへへっと笑いながら額を押さえる琴子に直樹が苦笑しているとかたんと椅子の動く音がした。
「直樹さん。」
「沙穂子さん、本当に斗南大学に来ていらしたんですね。」
「ええ…、ぜひお話を聞いてみたい教授がいらして…。」
さっきまでの騒がしさが嘘のように沙穂子の声だけが食堂に響く。
きゅっと小さく服の裾が握られるのを感じて、直樹はそっと琴子の腰を抱いて隣へと導いた。
あ、あけましておめでとうございます…?
まったく更新してなくて皆様お忘れかと思いますが、こっそり更新してみました。
気がつけばご挨拶もしないままもう3月…。
リハビリのために短編でもと思ったのですがなかなか進まず。
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