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「短編」
結婚後

幸せの香り

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「琴子、シャンプー変えた?」

くんと頭の上で入江くんが鼻を動かす音がする。
ぎゅっと抱きしめられて、目を閉じていたあたしはそっと伺うように入江くんを見た。
地肌に鼻がつきそうなほど近い入江君との距離。
結婚前では想像さえ出来なかった近さにちょっとだけ腰が引ける。


だって、だってよ!…こんな風に改めて匂いをかがれることなんてないから。
さっきまで皆で賑やかにパーティーを開いてくれたから余計に。
2人きりの空間にドキドキが止まらない。

つっと入江くんの体が動いて持ち上げられた髪に唇があてられる。
ちょっと恥ずかしいけど、確認は必要よね!入江くんが気に入らないなら意味がないし。

「うん、理美が誕生日にってくれたの…。この匂い、嫌?」
「…別に。いいんじゃない?」

そっけないけど、この反応はどうやら大丈夫だったみたい。
その証拠にさらって音がして捕らわれた髪が軽く引っ張られるのを感じる。
入江くんの、細いけど節だった指に巻かれてはするすると逃げ出すあたしの髪。

その内入江くんは大きな手で地肌をすくように撫でてくれた。
大きな手が気持ちよくて目を閉じる。

入江くんは匂いのきつい物は嫌いみたいだから、普段から本当は気にしてるの。
それを知ってる理美が選んでくれてあたしも気に入ったから。
気に入ってくれてよかった。

なんて心の中で言い訳しながら、本当は興味もなさそうにしてた入江くんがこんな小さな事に気づいてくれただけで胸がきゅんと苦しくて。
些細なことが嬉しくて頬がゆるむ。

普段は甘やかしてくれない入江くんだけど、あたしに触る指はいつも優しくて、気持ちいい。
でも今日は特別に優しくて、気持ちよくて…。
ばーかって言われちゃうかもしれないけど、指先でお祝いしてくれてるみたい。
すいては巻き取られる髪。

最初はどうしようかと思ったけど、入江くんがそうしている間、あたしはぎゅって入江くんに抱きついて入江くんの匂いを堪能できるようにまでなった。
撫でてくれる入江くんの邪魔にならないように、あんまり頭を動かさずに。
今日も鼻先をこすりつけるように顔を埋めるといつも同じ清潔感のある匂い。
どきどきもするけど、それよりも入江くんの匂いに包まれてるだけで安心する。
幸せの香り。

「琴子。」
「んぅ?なに?」

入江くんが呼ぶだけで特別な気のするあたしの名前。
弾かれるように見上げると入江くんと目が合った。
ちゅっと額にキスされる。

「…おめでとう。」

言葉と一緒に降ってくる優しいキス。

…知ってる?入江くんが言ってくれたその言葉だけで本当に嬉しいの。

チュッチュッと連続で降り注ぐ軽いキス。
特別な日だから、期待してなかったわけじゃないけど。
顔中にキスを落とされながら、シャツの中に忍び込んできた手に肌を撫でられて身をよじる。
恥ずかしいけど、あたしが拒否しないのを感じたのか入江くんは目を細めてそっと顔を近づけてきた。
あたしの大好きな入江くんの瞳が細められるのを見て目を閉じる。


生まれてきてよかった。
私を生んで育ててくれた両親。
手助けしてくれた家族や友達。
だぁい好きな入江くん。

ありがとう。






ご無沙汰しております。
今日はせっかくの琴子ちゃんのお誕生日。
何かしたかったのですが、つい最近引っ越しまして片づけが終わらず、ネットもない状況で…。
仕方がないので以前書いていた物をスマホで直しました。
でも長い文章はかなり見にくいので、文にいつもよりもまとまりがないかも…。

しばらくは王子のソロコンで遠征も立て込むので…更新が疎かになりそうです。
すみません…。
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